ブオオォォオン・・・
富岡「なっ。落ちた?」
その球はスライダーでは
なくほんの少しだけ落差
のついたカーブだった。
富岡は完全に空振った。
しかし・・・
早川「うわっ・・・無理」
早川が球を捕れなかった。
ボールを後ろにそらした。
ベンチ「走れぇ。富岡ぁ」
富岡は我に戻り一塁へ走る
三塁の真木もホームへ来る
瀬戸がホームへカバーに
向かうが遅かった。
振り逃げ成功となった。
真木「1点は1点やな。
不本意やがこれで同点や」
瀬戸「同点か・・・もう
追加点とれへんのにな。
俺達の負けみたいやな」
真木「ふん。よう言うわ。
そんな事言う奴やないのは
わかってるっちゅーねん」
真木はベンチへ戻った。
瀬戸「ほんまにめんどうな
やつやなぁ。逆転の希望も
潰してくるんかいや」
だんだんと勝ち目が消える
いや・・潰されてきていた
それは今まで俺達がやって
きていた事と似ていた。
勝つべくして勝つ姿勢が。
俺達が柔。徳報が剛。
俺達の場合は策を労して
実力をカバーしてきてた。
いわば弱者の勝ち方だ。
しかし徳報は実力だ。
実力でねじふせてきていた
ただの純粋なる実力により
実力の差を見せつけておき
相手の戦意を失わせる。
いわば強者の勝ち方だ。
どっちも正解の答えだろう
しかし高校野球では俺達の
考えでは限界があった。
リーグ戦ではないからだ。
1回負ければそこで終了。
純粋なる実力が最も強い。
そして最も安定する考えだ
それが高校野球では最も
有利な考え方だった。
次の打者は5番の関元。
キャッチャーの経験から
投手の心理状態を探る。
しかし瀬戸の方が上だった
追い込み最後はフォークで
関元を三振に打ち取った。
瀬戸「1対1か・・・」
2回の表になり俺達の攻撃
打順は7番の結城からだ。
荒木「下位打線なんかに
打たせるわけないやんけ」
荒木が全力で球を投げる。
スライダーも混ぜていた。
結城「こんなん打てんわ」
菅原「カーブにスライダー
ボールが全然絞れへんわ」
浅井「タイミングが合わん
こんなん打てへんやろ」
三者三振で抑えられた。
荒木「おっしゃあ~」
荒木の調子が上がった。
流れも徳報に行った。