瀬戸「はぁ。打ちそうやな
チャンスに強い感じする」
富岡「まずは同点やな。
荒木を助けてやらんとな」
荒木は今回初披露の決め球
スライダーを初見で打たれ
ショックが大きかった。
真木が作ったチャンスと
荒木がやられた悔しさ。
それをまとめて返すのが
4番富岡の考えだった。
瀬戸が振りかぶり投げる。
内角にシュートを投げた。
富岡「シュートやと?」
富岡は空振っていた。
わざと空振っていた。
もし今ので当たればゴロで
打ち取られていたからだ。
瀬戸「ええスイングやなぁ
ずっとバットを振ってきて
基本を練習してきてるな」
富岡「真木の言った通りか
何食わぬ顔して投げてくる
ペテン師ってのはわかるわ
まぐれで打ち取った様に
見せかけといてきっちり
打ち取りに来てるやんけ」
富岡は瀬戸をわかっていた
弱小の俺達を研究してきた
真木のアドバイスを聞いた
そして瀬戸の球を実際見て
富岡に油断は無くなった。
瀬戸が2球目を投げる。
外角を大きく外れてボール
いつも遊び球はしなかった
瀬戸がボール球も使った。
3球目に内角へシュート。
1球目と同じ配給だった。
ツーストライクに追い込む
瀬戸「これは誘われたか」
富岡「決め球でこいやぁ。
それを打ってやるからよ」
瀬戸が振りかぶって投げる
富岡「なっ・・こいつ」
瀬戸「はい。終了っと」
山なりのスローカーブだ。
富岡のタイミングを外した
誰もが三振だと思った。
富岡「踏ん張れぇぇぇ」
富岡が強引に踏ん張った。
バットの先を軽く当てて
無理矢理ファールにした。
観客席が盛り上がっていた
徳報の応援団も期待してた
瀬戸「あら~。完全に裏を
かいたと思ったけどなぁ」
富岡「少し脇腹痛めたか。
今のはやられてたとこやわ
どこまでのペテン師や」
蓮「頂上決戦みたいやな」
エースと4番の対決だった
この対決で流れが決まる。
そういう大事な打席だった
瀬戸「決め球で投げるか。
投げたくなかってんけど」
瀬戸が振りかぶって投げる
その球はスライダーだった
富岡「荒木と一緒やんけ。
これを打たないと・・・
決め球を叩いてやらな」
瀬戸「いや。違うねんな。
その球は違うねんや」
富岡がバットを振った。