松田「ここで・・こう」
松田がバットを引いた。
引いた瞬間に全員凍りつく
「なんでバットを引く?」
頭の中で送りバントだと
決めつけていた。
キャッチャーが球を落とす
拾って投げようとしたが
間に合わないので投げない
瀬戸の出したサインは盗塁
盗塁するために補助をしろ
というサインだった。
松田「9番が盗塁なんて。
普通誰もしないですよ」
送りバントならワンアウト
で2塁になっていたが
盗塁なのでノーアウト2塁
陵広に嫌な状況を与えた。
その状況を瀬戸が作った。
瀬戸も点を取る気だった。
松田「ここで絶対打つ。
ここで打たなあかんやろ」
松田は緊張をしていた。
肩に力が入りすぎていた
瀬戸が盗塁をしたことで
松田も勝負所だと踏んだ。
それを見ていた浅井にも
状況が伝わっていた。
浅井「松田。点を取ろう。
ここで取らなあかんわ」
瀬戸はサインを出さない
松田が自由に決めていい
松田はカーブを空振って
ツーストライクになった
松田「無理や・・あかん
こうなったら・・・」
松田がサインを出した。
瀬戸と浅井だけがわかる
浅井「・・ここでか?」
瀬戸「嫌いやないかな」
松田「ははっ。めっちゃ
怖いわ。ここでミスると
俺のせいやもんなぁ」
松田が出したサイン・・
それは・・・エンドラン
ピッチャーが投げたら
走れというサインだった
失敗したらチャンスは
一気に崩れる。しかし
成功すれば広がる。
松田「成功する確率が
大きいときはするって
ことやったもんなぁ」
松田は理念を守っていた
成功すると踏んでいた。
しかし頭には失敗した時
というのが浮かんでくる
自分との戦いになってた
振りかぶって投げてくる
瀬戸が3塁へ走った。
ピッチャーは気づかない。
キャッチャーだけ気づいた
松田がバントで構える。
サードの方向へ転がした。
送りバントをしていた。
サードが処理に走ってくる
3塁は無理だと判断をして
ファーストへ投げようと
した時瀬戸がほんの少し
ホームへ走るそぶりをする
サードは瀬戸の方を見た。
一瞬投げるのを躊躇した。
瀬戸に翻弄されていた。