松田「控えでこれかぁ。
やっぱレベル高いわぁ」
松田は揺さぶられていた
ボール球も混ぜられてた
蓮「どうしたんや?何で
全然球が打てへんの?」
瀬戸「わからんのか?」
蓮「あぁ。わからんわ。
そんなに球が速い訳でも
ないしすごくもないし」
瀬戸「キャッチャーや。
キャッチャーの配球や。
キャッチャーが上手い」
蓮「キャッチャーが?」
キャッチャーが指示して
投手は要求通り投げる。
投手はミットをめがけて
思いっきり投げるだけ。
これが普通の野球だった
蓮「あれ?そうなん?
瀬戸の時は早川が投げる
のを指示してるの見た事
ないねんけどや」
瀬戸「指示なんてさせん
ピッチャーの気持ちいい
ように投げさせてほしい」
早川「瀬戸君をリードする
なんて僕にはできませんよ
瀬戸君の配球の方が上やし
相手の嫌がる球を投げる」
蓮「サインはどうしてる?
どうやってやってるん?」
瀬戸「俺が出してるねん。
ボールを受け取ってから
肩を触るかとかでな」
蓮「そうなんかいや。
構える前にやるんかいな。
それはわからんわな」
瀬戸「構えてたらボークや
そんなことできるかいや」
何気ない動作の中にサイン
のやりとりが行われてた。
瀬戸と早川だけのサイン。
もし早川が気づけなかった
場合にサインを出して瀬戸
に確認をしたりしていた。
こういった所は高等技術を
使ってとことん隠していた
そうする間に試合が進んで
俺の打順になっていた。
松田は三振に討ち取られて
浅井はゴロで打ち取られる
ツーアウトになっていた。
打席に入って球を見る。
初球に外角低めの直球。
2球目は内角高めのカーブ
3球目は外角直球でボール
4球目は内角低めに直球。
俺も見送り三振になった。
蓮「なるほど。違うなぁ。
簡単にバットが触れんわ」
球のコースがわからない。
簡単に読めはしなかった。
コントロールのいい投手に
頭のいいキャッチャーの
リードがこれほど合うとは
思わなかった。
強くて上手いのは認める
だけど・・・怖くはない。
こんな野球は怖くなかった
心が折れる野球じゃない。
それがわかって安心した。