蓮「・・・すごいっスね」
稲田「インカはな・・・」
俺には気になる所があった
蓮「総長はそのロバートと
どんな約束したんスか?」
稲田「あぁ。この話をした
時に俺は引退するって事」
蓮「えぇ!?マジスか?」
稲田「あぁ。マジや。
頼んだぞ。七代目。」
総長は特攻服を脱ぎだし
俺に手渡した。
蓮「えっ?」
稲田「そして話した相手
に次の総長を任せる。
それがインカとの約束や」
蓮「・・・・そんなの
守らなくても。」
稲田「ダメだ。
俺はロバートと約束した。
それは阿部さんも聞いてた
約束を守れるから総長や。
俺がここで約束守る事を
見せられんかったら蓮も
約束守れないんや。」
蓮「でも総長がおらんく
なんのは嫌っスよ。」
俺はもう涙が出てきて
止まらんかった。
そんな重い理由があるとは
知らなかった。ただ興味本位で
聞いてしまった事に後悔した。
それに覚悟を決めた総長に何を
言った所で変わるものじゃ
ないのは分かってたから
悔しかった。
稲田「俺が今話しした事は
誰にも言うなよ。この話を
する時は羅針の代が変わる
時、蓮が決めた次の代だけ
語り継いでいくんやぞ。」
俺は泣きながら頷いた。
稲田「七代目に代替するの
は1週間後の今日や。時間
はそんな無いぞ。帰るぞ」
俺と総長は柴さんを連れて
地元に帰った。
今日は長い一日だった。
深夜に家についた俺は
手当てしてすぐに眠った。
次の日の朝・・・俺の顔は
大きく腫れていた。
それを見た親は驚いた。
俺には諦めているみたいや
から何も言ってこない。
龍太が降りてくる。
龍太「蓮。おはよう。」
蓮「おはよう。あのさ・・・」
龍太「ごめん。急ぐから
もう学校行くわ。またな」
そう言って龍太は急いで
学校へ向かった。
おかんはぶつぶつ
言っている。
母「お兄ちゃんはいつも
もっと早いのに蓮が起きて
来るのを待ってたんやで」
蓮「・・・悪かったよ。
今日は学校に行くから」
母「えっ?」
母は素直な俺の返事に
驚いていた。
そうして学校に向かう。
電車のホームで珍しいもの
を見るようにチラチラと
視線が集まる
電車に乗っても見られる。
電車から降りて学校へ
向かう時も見られる。
学校に着き校門前で
生活指導の先生が驚く。
俺には何も言わない。
俺には昼間の居場所が
なくなっていた。