瀬戸は俺に合図を送った。
手で親指をたてて横に向け
首を横にかっきり親指を
下に向けた。
蓮「ははっ。そうか・・・
そうするかいや・・・」
瀬戸なら確かにそうする。
そして俺もそう教わってた
真田は俺が逃げ切ることを
選んだと思ってるやろう。
瀬戸の出したその合図は
息の根を止めろって事だ。
審判「はじめぇ」
俺と真田は組み合った。
真田が果敢に攻めてくる。
その攻撃は雑だった。
完全に焦っていた。
必殺技の飛び関節が俺に
通用しなかったのが大きい
真田の精神を崩しきった。
気持ちはもう余裕だった。
俺は小内刈を仕掛けた。
橋本「動作が大きいわ」
技に入る動作が大きい。
でも真田の体勢が崩れた。
蓮「よし。いける」
左の背負い投げに入る。
それと同時に真田は体勢
を崩しながら小内で返す
ピチッと音がしただけ。
蓮「なんや。それは。」
俺は何も動じなかった。
その間に真田は・・・
一瞬の空白の時間を作り
背負いの体勢に入った。
蓮「えっ・・・」
真田「おりゃああぁ」
背負いで投げられた。
ダアァアン・・・
審判「技ありぃ」
技ありをとられた。
橋本「今のは上手いな」
瀬戸「えぇ。いまのは
ひっかかりますね」
空白の時間を作られ無防備
な状態を作った真田を
褒めていた。
蓮「くっそお。やられた」
ポイントで並ばれた。
お互い技あり同士だった。
塩田「残り3秒でーす」
審判「はじめぇ。」
俺と真田は組み合った。
そして・・・
ブーーーーーッ
審判「それまでぇ。」
中田「うぉ引き分けたぁ」
塩田「全中チャンプに
引き分けたぁ。すごいよ」
判定は引き分けだった。
柔道始めて1ヶ月の俺が
全中チャンプと引き分けた
大波乱が起きてしまった。
お互い礼をして戻った。