松田が打席に入り構える。
荒木「ほんじゃあ行くか」
荒木が振りかぶって投げる
ど真ん中へのストレート。
松田「やっぱり・・甘い」
松田は初球から狙っていた
セカンドとショートの間を
抜けるゴロを打った。
松田「これは抜けるやろ」
荒木「生意気に当てたか。
佐々木ぃ。頼むわぁ~」
佐々木「ほいよ。任せろ」
セカンドがとってショート
にトスして一塁へ送球する
審判「アウトォ~~」
観客席が盛り上がる。
今のファインプレーに。
松田「あれが抜けへんか。
ゴロはあかんっていうのは
そういうことなんかな」
蓮「今のは気にするなよ。
俺も抜けたと思ったわ」
松田「はい。すんません。
球速は瀬戸さんぐらいです
打てない球じゃないです」
蓮「そうか。わかったわ。
それを聞いて安心した」
俺達の感覚がおかしかった
ピッチャーの標準が瀬戸。
普通145km以上は打てない
打てる打線の方が少ない。
瀬戸より上か瀬戸より下か
それを基準にして判断した
その方が伝えやすいから。
打席に2番の俺が向かった
田岡「ほら恵。頑張れって
声をかけてあげないと~」
川島「そんなん無理やって
最近会ってなかったしさ。
電話しかしてなかったし」
田岡「愛の力が見たいなぁ
応援してあげなよ~」
川島「いや。無理やって」
外野ではそんな事が起きる
俺は何も知らなかった。
打席に入って構える。
蓮「2番の意識ってのは
ヒットを打てやったな」
いつもは3番だったから
ランナーを進めろという
意識よりも軽かった。
構えも自然に楽になった
無駄な力みが消えた。
荒木「こいつは確か・・
3番やったやつやな?」
荒木が振りかぶり投げる
初球にカーブを投げた。
俺は初球を見送った。
というより手が出ない。
蓮「なんちゅう落差や。
こんなん初めてみたわ」
少し動揺してしまった。
頭の中にカーブが入る。
2球目は外角へボール。
1球外へ外していた。
3球目は外角低めに
ストレートを投げてきた
これもボールになった。
蓮「外へ・・・2球か。
じゃあ内角に来るかな」
俺はそう読んでいた。